業務内容

  • 不動産投資コンサルティング
  • 財産コンサルティング
  • 相続コンサルティング
  • 競売コンサルティング

相続対策の問題点。

相続対策には分割、納税、節税の3つがあります。これらを同時に処理することは、かなり難易度の高い作業といえます。

資産の大半が預金であれば分割や納税の心配はありませんが、預金には節税効果がありません。預金を節税効果の高い不動産に変えると、次は分割と納税が困難になります。分割しやすいように不動産を分けたとしても、規模の利益を失って資産価値が下がることもあります。分割、納税、節税と経済価値のすべてに注意を払い、相続対策をしなければなりません。

資産家の相続対策の目的は節税にあります。節税で気をつけたいことは、将来を見越して考える必要があるということです。対策を講じた直後は節税になったとしても、将来的に増税になるということでは意味がありません。相続対策には相続税や贈与税、譲渡税、消費税が複雑に絡み合います。それらを総合的に検証して判断する必要があります。

ライフプランニングから逆算する、
資産設計。

資産運用を始めたきっかけとして、税理士や銀行員、不動産業者などから勧められてはじめたという方が多いのではないでしょうか。実際には、将来的なライフプランニングから逆算して行うのが正解です。

家族構成やライフイベント、実現したい夢などを考慮して、得たい収入、老後に必要な収入など、月毎に必要となる収入目標を定めます。収入目標の差により、運用方法やリスクの取り方が変わってきます。自分のライフプランニングだけでなく、親から子への資産承継も念頭におきながら考える必要があります。

ライフプランニングの次は資産設計です。最適なポートフォリオをつくり、運用していくことです。事前に計画を立てて進めていけば相続対策は難しいものではありません。適切な資産設計ができているということは、分割、納税、節税という3つの相続対策が自ずとできている状態なのです。

それでも節税対策だという方へ。

相続対策で人気なのは「節税」です。節税で気を付けなければいけないことが2つあります。1つめは、目先は節税になるけれども、将来的には増税になるというものです。相続税、贈与税、所得税、譲渡税が複雑に絡み合い、一方が良くても他方で不具合となることがほとんどです。

2つめは、節税は経費の増加(=現金の支出)を意味するということです。経費が増えると利益は減少するので、節税になります。しかし、利益が減ると、純資産拡大のスピードも遅くなり、賃借対照表(BS)の弱体化にもつながります。賃借対照表(BS)の純資産は資金調達する上で重要です。

節税をキーワードとした商品のほとんどが目先のメリットしか触れず、将来のデメリットを伏せています。トータルで見るとデメリットだったということはよくあります。

唯一、節税で正しい手法があります。それは制度上の節税対策ではなく、時価と相続税評価の乖離を利用したものです。時価は高く、相続税評価は低くなる財産構成にしておくことは節税の王道となります。

不動産投資は節税になるのか?
鍵は、時価≠相続税評価。

相続税の申告は本来、時価での申告が必要ですが、不動産の場合、時価の算定が難しいため、路線価等の財産評価通達で計算して申告を行います。そこには時価と相続税評価の乖離が生じますが、時価よりも相続税評価が低ければ節税となり、逆に時価より相続税評価額が高ければ増税になります。

時価よりも相続税評価額が高いものとしては、無道路地、別荘、崖地、借地権などがあります。その逆に、時価よりも相続税評価額が低いものとしては、完成宅地、家屋、借家があります。それぞれ、相続税評価額の割合は以下のようになります。

  • 完成宅地/時価の約80%
  • 家屋/時価の約60%
  • 借家/時価の約40%

この時価と相続税評価額との差が節税の原資となります。路線価の低い地域よりも高い地域(都会)のほうが相続税評価の乖離が大きく節税に有利となります。

収益物件の時価は主に収益還元法による査定となります。年間の家賃収入から管理費や固定資産税などの経費を控除したNOI(ネット収入)が時価に対してどのくらいの利回りになるかを判断します。金融商品と同じように、期待利回りが価格を決める要素となります。国債の利回りに、不動産のリスクを加えた利回りが期待利回りとなります。仮に期待利回りが5%として、年間のNOI(ネット収入)が500万円とすれば、500万円÷5%=1億円が収益還元価格となります。

収益還元価格 = NOI(年間家賃収入-経費)/ 期待利回り

一方、相続税評価は土地と建物の価格から算出されます。地域により異なりますが、土地は路線価(時価の約50~80%)、建物は市町村の評価する固定資産税評価(時価の約40~60%)を時価とみなします。
土地については借家があれば、貸家建付地として18~21%(住宅地)の評価減となります、建物については、借家権がつくので30%の評価減となります。

収益還元法によって算出された時価が1億円の収益不動産であったとしても、相続税評価額が4,000万円ということも起こりえます。収益不動産の価値は、本来その収益性にあるはずですが、当局の相続税評価の考え方が未だに旧態依然なのです。その解釈を逆手にとって節税をすることは十分に可能です。

相続直前に収益不動産を取得したとします。時価で3億円です。相続税評価額が1億円とします。2億円の評価減となります。税率が50%ならば1億円の節税となり、さらに将来の収益に対しては相続税はかかりません。時価3億円で、ネット利回りが6%としましょう。年間の税引き前の手取りは、3億円×6%=1,800万円です。20年間であれば、3.6億円の収入になります。収益不動産の相続税上の優位性は別格です。将来生み出すであろう収入に対しては税金は掛からないのです。

収益不動産の相続税評価が下がる理由

時価は収益還元法、相続税評価は更地主義

時価と相続税評価額の乖離に着目

不良資産を優良資産に組み換える
相続対策。

相続対策として、資産組み換えを行うことも、節税効果が見込めます。収益性の落ちた不良資産を優良な収益不動産へと組み換えることによって収益を安定化させ、将来の納税資金を蓄えることが可能です。時価よりも相続税評価が低くなることで節税にもつながります。また、相続においては大切な分割対策にもなります。

[事例]
  • 決算書および名寄帳から相続税評価を算出し、相続税の試算を行う
  • 土地、建物毎に収益力を分析し、資産全体を数値で把握
  • 賃貸マンションを購入し、相続税評価を下げる
  • 相続税納税資金確保のため土地を売却
  • 収益対策として土地の売却資金の一部で賃貸マンション購入
  • リスク分散および分割対策で複数の区分マンションを購入

貸借対照表(相続税評価)

[結果]
  • 相続税が約2億円から約1億円となり、1億円の節税
  • 税前手取りが年間500万円から、3,100万円に増加
  • ROA(総資産利益率)が1.1%から5.1%にアップ
  • 農地を一棟マンションと区分マンションに組み換え収益増

相続対策には
あらゆる専門家の知識が必要です。

相続対策はプロの専門家と協力体制で進めていきます。それぞれの役割として下記のような分類になります。

  • 税理士/相続税の試算と納税準備
  • 土地家屋調査士/相続税納税のために売却する土地の確定測量
  • 不動産鑑定士/土地の鑑定評価、相続税評価を下げる対策
  • 司法書士/相続関係図の作成と名義の移転登記
  • 不動産業者/収益不動産の組み換え、納税用地の売却
  • 金融機関/最優遇金利にて融資、融資期間延長
  • 管理会社/取得不動産の管理、部屋付け等
  • 保険会社/保険の加入手続き
  • 建築士/賃貸マンション、アパートの設計
  • 弁護士/成年後見人の手続き等

相続対策の実行には、収支・建築・相続・法務・税務・金融・管理・市場・保険・鑑定・所得・経営・投資・不動産などに対する幅広い知識と経験が必要になります。ところが、それぞれの専門家の立場によって方向性が違ったり、自分の領域にこだわることで、全体を見失ってしまうことがあります。相続対策は「全体最適」です。それぞれに対して、自らが個別で発注するやり方もありますが、それぞれを統率する労力は甚大です。そういった問題を回避するためには、全体をマネジメントできるコンサルタントに依頼する方法も得策です。